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恩田陸さんインタビュー

更新日:2017/05/ 1

直木賞と本屋大賞に輝く 恩田陸さん(昭58年卒)

「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎)で直木賞と本屋大賞の二冠に輝いた
恩田陸さんに作品についてや、高校当時の思い出を語ってもらった。

本作は地方の国際ピアノコンクールを舞台にした音楽小説。
ピアノが家にない16歳の塵(じん)、かつて天才少女として名をはせた20歳の亜夜…。個性豊かな音楽家たちが繰り広げる青春群像劇。


◯改めて直木賞受賞の感想を
●ホッとしたというのが一番。みなさんの期待も高かったので、これで落としたら洒落にならないなと。 本当に大きな賞なんだなって実感しました。贈呈式の日には同級生がたくさん駆けつけてくれ、シンガポールからもわざわざ来てくれました。
◯受賞作品について。
●長期連載で大変だったので本当に終わってよかったです。〝音楽を文章で鳴らす〟ことの難しさは予想通りでしたが、書いてみたら意外と相性が良かった。読者の頭の中で、おのおの音を鳴らせるので、小説で音楽を書くというのは思ったよりも向いていたなって思いました。
◯小説家になろうと思ったきっかけはなんですか?
●子どもの時から本が好きだったし、漠然といつかはなりたいなと思っていたのですが、ある程度社会経験を経てからなるものだと思っていたんです。ずっと先、40歳過ぎてからなるものだと。25歳の時「日本ファンタジーノベル大賞」を受賞した酒見賢一さんの「後宮小説」を読んで、自分と一歳しか変わらないのに書く人がいるのだとショックを受けました。それで私も書こうと。もちろん最初はプロとしてやっていこうとは思っていなかったのですが。
◯これまでにたくさんの作品を発表されていますね。
●プロになってからは、がむしゃらに仕事をしています。3月には新作「錆びた太陽」(朝日新聞出版)を出しました。64作目になります。
◯書く原動力はなんですか?
●それは単にプロだから。それだけです。ポリシーとして、プロは量を伴わないといけないと思っています。10年に1冊書いて〝傑作〟なんて当たり前じゃないですか。やっぱり量をある程度出して、それなりの質を保つのがプロだと思っています。ですから、とにかく書く。仕事ですから。
◯書いていて調子の良いとき、悪いときはありますか?
●だいたい調子悪いですけどね(笑)だからスランプはないです。ずっとスランプ。
◯毎日どんな生活をしていますか?
●今は朝型で、自宅で書いてます。パソコンを持ち歩いて外で書くのは好きじゃないので。だいたい平均すると10時くらいから夕方まで書いてます。睡眠時間は4、5時間。うんうん唸ってもできない日もあるし、その日の締め切りが終わるまで書かないといけないので、毎日まちまちですね。
◯高校の時はどんなキャラクターでした?
●中三の時に仙台から引っ越してきて、水戸市新荘に住んでいました。子どもの頃から人見知りだったんです。それが高校に入って初めて人と話すのが面白いなって思うようになった。「優等生と思われるのが嫌だ」「でも良い大学に行きたい」とか実はみんな同じようなことを考えているんだねって思ったし、将来のこととか本音を高校になって初めて話しました。転校が多かったので、人間観察は子どもの時から染みついていることが小説に役立っているかもしれません。
◯初めて水戸に来たときの印象は?
●正直言うと、首都圏だから仙台よりも都会だろうと思っていました。だから、こんなにローカルな所なんだって、とてもびっくりしました。東京に近づくにつれて街は大きくなっていくものだという感覚があったので。同級生に「水戸は都会だからびっくりしたでしょ?」って聞かれて、「う~ん」って答えに困った。その同級生が、後に仙台に行って「仙台って都会だね」って言ってきておもしろかったです。今でも印象に残っています。
◯どんな高校生活を送っていましたか?
●美術部では油絵を、知道(新聞部)ではエッセイみたいな物を書いていました。学園祭の時だけ軽音楽部。超文化系でした。因数分解で挫折した口なので、2年の時には私立文系に行くことを決めてました。学校帰りに喫茶店に行ったり、川又書店とつるやブックセンターをはしごしてました。音楽はケイトブッシュばかりずっと聞いてました。入学から卒業まで同じ学校で過ごすのは水戸一高が初めてだったから、とにかく楽しかった。夏になると登校時に納豆工場からにおいがしたのを覚えています。いつも遅刻ギリギリだったので本城橋の上を走って渡っていました。
◯音楽もやっていたんですね?
●ピアノをやっていました。学園祭では賞をもらったり、吹奏楽部の公演で伴奏をしたりもしました。オーボエの上手だった男の子や、芸大に行って作曲家になった同級生と当時よく話したのを覚えています。
◯当時どんな本を読んでいましたか?
●立花隆の「宇宙からの帰還」を読んで感動しました。学校で借りたのか兄貴から借りたのか覚えてないけど、もしかしたら図書室にまだあるかもしれない。SFはよく読んでました。中学の時から読書日記を付けていて、ここが良かったとか、印象に残ったフレーズなどを書き留めてます。今も付けているんですが、習慣化してしまってやめられないですね。40年くらい続けていますから。
◯「宇宙からの帰還」はどんな内容ですか?
●宇宙飛行士にインタビューをするノンフィクションです。宇宙飛行士がいったん外側から地球を見ると、「あまりにも地球って完璧で美しい」「創造主みたいな人がいるんじゃないのか」と神秘的な体験をした人が多いそうで。無神論だったのに、啓示を受け宗教家になった人が1人や2人ではなく何人もいるという事実が面白いですね。当時の感動を今でも覚えてます。
◯受賞作「蜜蜂と遠雷」にも宇宙感のような物を感じます。自然にあふれる音や宇宙の普遍的な法則を、ピアノというフィルターを通して美しい音楽に奏でる。登場人物が演奏する描写などを読んでそう感じました。
●音楽をやっている人は特にひらめくとか降りてくるという感覚があると思うんです。メロディーとか。ミュージシャンって理系の人が多い。数学と音楽は必ずシンクロ、親和性があると思います。宇宙の秩序的なものが同じ物理法則で動いているのなら、それを何か別な形で言い表した物が音楽なんじゃないかと。数式から曲を書く人もいますからね。黄金比とか心地よいバランスはあるので、そこに秩序はあると思うんです。神秘思想はないけれど、不思議な何かがあるかもしれないとは感じています。世界の秘密はそこに(笑)
◯高校生活で今の恩田さんに繋がるものはありますか?
●「夜のピクニック」はまるごと水戸一高をモデルにしたわけですし、人格形成に影響を与えたと思います。インスピレーションの源でもあります。今でも付き合いのある友達がいて、定期的に会ってます。
◯水戸一高ってどんな高校ですか?
●どんな高校でしょうね、うーん。「鳥の巣」のような所ですかね。いる間は一応、がっちり守ってくれるけど、後は好きに飛び立って下さいみたいな感じですかね。自由で放し飼いの雰囲気を残しつつもやっぱり守られている感じがある。入学式の日、新入生代表の男の子が「春爛漫―。」って作文を読み上げた時に、在学生からばーっと野次が飛んだのを覚えています。決まり文句を使ったことに対するブーイングだったんでしょうね。初めてブーイングと言うものを見たので驚きました。私たちはしらけ世代って言われていて、熱く語るのはうざいというか、シニカルなふりをしていたんです。高校に入ってからは「あれやりたい」「これやりたい」って将来のことを語るようになりました。〝歩く会〟で夜、友達と話すのってすごい楽しいじゃないですか。
◯在校生、卒業生にメッセージを
●(在校生へ)卒業して時間が経てば経つほど分かるんですが、良い学校だと思います。誇りにして下さい。一高に来れば、世の中にはこんなにできる人がいるんだって思うはずです。互いに刺激しあえる、一生つきあえる友達を見つけて下さい。(卒業生へ)「一高出身です」と言って、OBに会うとすごく嬉しい。私自身、誇りになっている。これからも母校の名を汚さぬよう、お互い精進しましょう。

聞き手 菊地克仁(広報委員 平13卒)2017年3月29日

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